・本書のテーマ
「世界」についての認識、世界の非存在
・先行研究
ヴィトゲンシュタインの限界:「世界とは、成立していることがらの総体である」(論理哲学論考)
世界は、対象・物・事実の総体である。
ハイデガーの限界:世界概念をどう根拠づけることができるかを示したにすぎない。
・キーワードの定義
「対象領域とは、特定の種類の諸対象を包摂する領域のこと」(p.39)
「事実とは、何かについて「真である」と言える何らかのこと」(p.53)
構築主義とは、「我々は事実「それ自体」を確認することができない」、「事実それ自体を構築している」とする立場。(p.61)
「世界とは、物の総体でも事実の総体でもなく、存在するすべての領域がその中に現れてくる領域のこと」(p.69)
存在(Existenz)の語源はラテン語のexistere(起こる、突き出る)。「自らのさまざまな性質によって、ほかのさまざまな対象から自身を際立たせている」
「存在すること=何らかの意味の場のなかに現れること」
「現象とは、「現われ」、「出来事」、「存在」を表す一般的な名称」
「たとえば論理的に偽であっても、現象していることに違いはない」
間違った思考の中にある現象自体は偽ではない。
「意味とは、対象が現象する仕方のこと」
「意味の場とは、(中略)特定の対象が、何らかの特定の仕方で現象してくる領域」(p.102)
・本書の新規なアイデア
「世界とは、すべての領域の領域、すべての対象領域を包摂する対象領域である」(p.55)
例えば、「自然数という対象領域は、偶数という対象領域を包摂している」。
「存在とは、意味の場の性質にほかならない」(p.105)
(今後追記予定)