しかしショーペンハウアーの価値、とりわけ後世の哲学に及ぼした意義は、哲学上の学説に対する客観的・学問的興味というようなことではおそらくなかった。
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そして、かれは世界をただ疑い、否定しただけではない。ニーチェが感嘆したように、世界と人間の赤裸な真相を究明することに対し彼は積極的な勇気を持っていた。と同時に、独断であれ何であれ、救済を烈しく希求する意欲をもっていた。余談だが、ショーペンハウアーの哲学は現代の世界にますます意義を増してきつつあるように思える。自然破壊、地上の生存の可能性、盲目的な意志に駆られていく文明の荒廃が、すでに百二十年も前に、根本のところでしっかり捉えられているからである。
ニーチェはショーペンハウアーの哲学の理論にではなく、理論の奥にあり、それを支えている人間に打たれたのであった。