「監視資本主義」ショシャナ・ズボフ

...怒れる若者たちにかかっている。すなわち、自律性のない良い暮らしは良い暮らしではなく、依存に誘発された妥協は社会的契約ではなく、出口のない巣はホームにはなり得ず、聖域のない経験は影でしかなく、隠れなければならない人生は人生ではなく、触れても無感覚なものは真実を語らず、不確かさから生まれる自由は自由でないことを知って行動する若者たちだ。

「全体主義の起原」ハナ・アーレント

個体性の破壊ということは、自発性の...抹殺にほかならないからである。その後に残るのは、生身の人間の顔を与えられているが故にかえって不気味な、例外なしに死に至るまで唯々諾々と反応を-反応のみを-つづけるパヴロフの犬と同様にふるまうあの操り人形なのだ。これこそこのシステムの最大の勝利である。

「モンテーニュ エセー抄」宮下志朗編訳

精神の鋭い切れのよさとか、自在に動き回る頭の回転のはやさなどは、むしろ交渉を混乱させてしまう。人間のすることなのだからして、もっとおおざっぱに表面で取り扱って、その大部分は運命の権利にゆだねるべきなのだ。