「しのびよる破局」辺見庸

個別には幸福もあるかもしれないけれども、その幸福は絶大な不幸の上にしかなりたたないという現実を見るとき、はたして人間は真の意味で幸福を感じることができるかどうか…。そんな問いかけを粛然として聴く空気がこの社会にはあるのでしょうか。いや、問いかけ自体があっさり揮発させられてしまうようです。